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2017年11月19日 (日)

戦略なき増税路線

 政府・与党は、来年度の税制改正に向けて、会社員など給与
所得者の所得税を計算する際に収入の一定額を経費とみなして
課税対象から差し引く給与所得控除を、高所得者を中心に縮小
する案の検討に入ったと報じられています。
◆高所得者に有利な所得税
 所得税の基本は、所得の高さに応じて税を負担する「累進課
税」です。
 ところが、現行の所得税では、厚生年金などの社会保険料を
給与から支払った場合、その分を差し引いた額をもとに、所得
税が計算されます。そのため、多額の社会保険料を支払ってい
る高所得層は控除の額も大きくなり、結果的に高い所得に応じ
た税負担がなされていないという実情が指摘されています。
 一方、厚生年金に加入していない人は、納める社会保険料の
額自体が少なく、結果、控除額が小さくなっています。
 つまり、社会保険料の控除も視野に入れると、高所得層が事
実上「優遇」されているのが現在の所得税と言えます。
◆「控除の見直し」は行うべき
 「所得税控除の見直し」は私の持論であり、政府・与党が検
討を進めるのであればそれ自体は賛成です。
私は先の衆院総選挙において、消費税を5%に引き下げ、その
「代替財源として」所得税の控除のあり方を見直すべきだと主
張しました。
詳細は私のホームページの「馬淵澄夫「消費税引き下げの検討」
をご覧いただきたいのですが、具体的には、社会保険料に対す
る控除を見直すことで、消費税1%分以上の税収にあたる2.5兆
円程度の税収を確保できます。これに加え、株取引などで得た
所得への課税強化、脱法的に税逃れを行う企業への課税強化な
どを組み合わせることで、消費税3%分は十分賄えることを示し
た検討結果を公表しました。
◆控除見直しは消費減税とセットで
 政府・与党の検討する「所得税控除の見直し」は良いとして
も、問題は「増税」路線の先にある「戦略」の有無です。
 政府与党案と私が主張してきた案との最大の違いは、「経済
対策としての消費税減税を同時に行うか否か」です。
 政府・与党は消費税を10%に上げた上で、所得税控除を見直
そうとしています。政府・与党は、全納税者を対象とした「基
礎控除」を同時に見直すことで、企業に属さず働く個人や所得
が低い層の税負担を軽くする方向で検討しているとされていま
すが、これが「経済対策」として、いかなるインパクトがある
かは検討された形跡は見あたりません。
 「こちらを増やしてあちらを減らす」的な帳尻合わせの税の
見直しではなく、税と経済が密接に関係していることを踏まえ、
「戦略的な」税の見直しこそが必要と考えます。
 消費が落ち込み続けている経済状況のもと、国民の暮らしを
守るという最も大切な目標を実現するためには、所得の低い層
に悪影響の大きい消費税を引き下げて、税収不足となる分の代
替財源として、高所得層が恩恵を受けている控除を見直すべき
です。
個人消費=景気・経済の回復と、格差是正とを同時に行うべき
というのが私の主張です。
政府・与党には、従来の硬直的な思考から離れた、「戦略的な」
税の見直し論議を強く望みます。

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