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2017年11月10日 (金)

成果見えぬ日米首脳会談

 5日、トランプ大統領が来日し、安倍総理との首脳会談を行いました。しかし、具体的な首脳会談の成果には疑問を感じます。

首脳発言から「成果」をみる
 トランプ大統領の訪日に関しては、「日米首脳間の信頼が深まった」と評価する声も聞かれます。しかし、首脳会談はお互いの信頼関係を高め合うだけではなく、国益として何を主張し、「何を得たか」が厳しく問われる場です。

 その成果については、表面的な友好ムードにとらわれず、両首脳の発言内容に着目すると、日米がそれぞれ今回の会談で「何を得たか」が見えてきます。
 会談後の記者会見でトランプ大統領は、「日本は、アメリカの兵器を大量に買う。これは日本の安全のためだ」、「アメリカと日本は公正で自由な貿易関係を築く。平等で信頼できる市場へのアクセスを確保し、貿易赤字を解消する。この目的に向け話し合い、大きな進展があった」と「具体的な」成果について話しました。

一方の安倍総理は例えば北朝鮮問題については、「改めて、日米が100%共にあることを力強く確認しました」と話し、経済問題については、「2国間の(略)協力も強化していくために、引き続き議論を重ねることで一致しました」と述べるにとどまりました。

具体的な成果を並べるトランプ大統領に対し、安倍総理の言葉は大変に抽象的です。

これを踏まえると、トランプ大統領は、互いの方針の確認や強化だけではなく、高額な兵器の日本への売り込みや、アメリカの対日貿易赤字の解消といったアメリカの国益となる主張を行い、安倍総理は、それを飲まざるを得なかった構図が伺えます。一方、具体的に日本が得た成果は見えないと言わざるを得ません。

「過度の対米依存」は問題
 冷戦下で歴代自民党政権は、アメリカという超大国に安全保障、経済を依存することで、ソ連の軍事的脅威に対抗しつつ、自由貿易の中で輸出企業を中心に経済発展を図るという姿勢を取ってきましたが、日米で連携して北朝鮮の軍事的脅威に対抗すると同時に、経済面では中国に対抗しようとする安倍政権の戦略もこれと同じ系譜の上にあるといえます。
 しかし、かつてアメリカにとってアジアにおける共産圏に対する防波堤として重要であった日本の地位は、冷戦終結後の中国の経済発展をうけ、大きく揺らいでいます。
 アメリカは中国と親密な関係を築き、北朝鮮問題についても中国やロシアといった周辺諸国が重要な地位を占めています。
今回のアジア歴訪にしても、主眼は中国と、ダナンでのロシアとの会談だとも言われています。中国の覇権拡大抑制を意識した「アジア太平洋戦略」から「インド太平洋戦略」への転換など、自国の利益の極大化に腐心するアメリカの姿が透けて見えます。
 中国はトランプ大統領訪中時に対米で28兆円ものビジネスを提供し、国際社会の懸案となっている知的財産権侵害問題や南シナ海周辺海域に及ぶ領有権・管轄権紛争などへの言及を封じ込めました。国際社会のリーダーたちは、すさまじい権力闘争を勝ち抜いてきたツワモノであり図抜けたしたたかさを兼ね備えているのです。日本も、「したたか」、でなければなりません。

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