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2011年10月

2011年10月31日 (月)

4号機の耐震性への懸念について

 福島第一原発の4号機の耐震性への懸念がまた最近、示され
ているという。

僕が補佐官当時、5月末までに、部材の健全性を目視により確
認した上で、シミュレーションにより耐震評価を行い、東北地
方太平洋沖地震本震と同等の余震が生じた場合でも、理論上の
耐震性が確保されていることを確認している。

特に当時、4号機建屋が崩壊しつつある、などという話がネッ
ト上にも流れ、「傾きだしているのでは?」などとの問い合わ
せが殺到した。

あわてて現場では、爆発により崩壊している建屋架構のレーザー
による三次元測量を実施し、元の図面とのひずみまでをチェッ
クし、さすがに崩れているという事実はないことを確認した。

しかし、当時のこの評価はあくまでシミュレーション上のもの
である上、近づくことさえできないエリアもあり、建屋内の部
材内部まで直接健全性を確認できないことから、かなりの不確
実性をもった評価であるものであった。

そこで、米国NRC等の専門家の助言を得つつ、鋼鉄製の支柱
及びコンクリートにより、4号機燃料プール底部の補強工事を
7月末までに完了させた。

これにより、ここ1年程度想定される余震対策として必要と考
えられる耐震性は確保されたと考えている。

 しかし一方、4号機燃料プールの底部や側壁は、事故発生直
後から海水などをプール内に注入した結果、通常よりもコンク
リート等の部材の浸食が著しい状況にあり、特に底部のコンク
リート破損による水の漏出が懸念される。
4号機燃料プールには、1~3号機の燃料プールと異なり、大量
の使用済みではない燃料が存在することから、地震などにより
大規模に破損し、冷却機能が損なわれた場合、広範囲にわたる
被害を再発しかねないほどのリスクが存在する。

 そのことを考えると、4号機燃料プール内の燃料については
他の安全な場所への移送を早急に実行すべきだ。
もし技術的に早期の移送が困難であり、その実施が何年も先に
なる場合には、直下型の地震に対するリスクが増大することか
ら、これへの対応を検討すべきである。

 具体的には、燃料プール底部の補強工事のような応急措置で
はなく、建屋全体の耐震補強を検討すべきだ。
そのころ、考えていたのは燃料プールより下の階について、地
下も含めてコンクリートの注入により固めてしまう方法だ。
建屋下部の応力を受け持っている部材(建屋側壁など)について、
全面的に補強工事を実施することも考えられる。

 いずれにしても簡単ではないが、こうした抜本的な対応につ
いても、検討しているのだろうか。

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陸側遮水壁の見送り

 福島第一原発の地下水への放射性物質漏えいについては、補
佐官時代にもっとも危機感を抱き、サイト全体をバスタブのよ
うに地中壁で囲んで遮断することをl強く主張してきたもので
ある。
・・・が、しかし。

「東京電力は26日、福島第1原発から出た放射性汚染水の地
下水への流出を防ぐ遮水壁(地下ダム)を1~4号機の陸側に
設置するのは「効果がない」として見送り、海側のみに設ける
ことを決めた。工事は28日から着手する。」(毎日新聞)

また、こんな話になってしまっているのか...。
情けなさと怒りがこみ上げる。

 福島第一原発では、現在も建屋内に滞留した汚染水が地下水
位とほぼ同じ水位となっており、事実上建屋が地下水に水没し
た状態にある。

このため、地下水位の増減あるいは拡散効果によって、建屋内
滞留水(汚染水)は地下水へ継続的に流出している。

水頭差がない(地下水と建屋内滞留水の水位が同じ)がゆえに、
バランスしているように見えるが、当然汚染濃度の高い汚染水
からの拡散によって放射性物質の流出は今もあると考えるべき
である。

 かねて主張してきたように短期的には遮水壁の整備が急がれ
るところだが、目指すべき状態は、建屋地下の汚染水を完全に
排除し、物理的に封じ込めることであり、そのためには建屋内
地下の汚染水の処理に合わせて地下水位を下げ、地下水の建屋
内への流入を防ぐ必要がある。

地下水位を下げるために、陸側の遮水壁の整備や建屋周囲のサ
ブドレイン(くみ上げ井戸)の活用を補佐官時代から強く提案し
てきたところだが、依然としてその検討が先送りされたままで
陸側遮水壁を設置すべきではないと結論づけることは早計であ
ると言わざるを得ない。

 なお一方、現時点で圧力容器から溶け落ちた燃料が、地下水
によって冷却されているという可能性が否定できない以上、安
易に地下水位を下げることはできない。したがって先に行うべ
きは、溶けた燃料の位置の特定することだ。

 東電公表資料では、地下水の流れは、建屋周りの水理地質構
造から、山側から海側に一方向に向かって流れるため、建屋周
りの地下水は四方に流出することなく必ず海側に向かって流れ
ることになる、と断言している。

しかしながら、これはあくまで地層条件などを仮定した理想的
なシミュレーションの結果に過ぎず、実際の地下の構造は複雑
であり、理想的に一様に流れるわけではない。

また、地下水の流れにかかわらず、汚染物質は拡散効果により
四方八方に広がっていく可能性を考慮すべきだ。

まず、地下水がどのように流れているのか、面的かつ広範囲に
トレーサ調査など最新の調査手法により調査すべきではないか。
さらに、地下水の汚染物質の拡散状況についても、建屋周囲の
サブドレンだけでなく、広範囲に継続的に調査すべきだ。

遮水壁の整備には時間がかかるため、流出が確認されてから慌
てて遮水壁の整備を開始することは手遅れとなる。
やはり、危険性がある以上、陸側の遮水壁についても海側に引
き続き整備すべきだと、僕は思っている。

補佐官当時にも、東電内で密かにささやかれてたと言われてい
る資金の問題があるのかもしれないが、もはやそんなことで許
されることではない。

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2011年10月30日 (日)

原子力バックエンド問題勉強会

 先週、自らが呼びかけ人代表となって、原子力のバックエン
ド問題に関する勉強会を立ち上げた。

マスコミはすぐに「次期代表選への布石」などと書き、「グルー
プ立ち上げ」かのごとき報道をするが、全く違う。

 かねてより原子力の課題としてバックエンド問題を真剣に考
えなければならないと訴えてきた。8月の代表選挙でも原発の
収束以外に原子力の課題として訴えたのは自分だけだ。
http://mabuti-sumio.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-c9d6.html

そして、代表選挙終了直後の8月30日に原子力委員会は、昨年
11月にスタートし、3.11東日本大震災によって中断していた
「原子力政策大綱」の見直しを再開させることを発表した。
一年後を目途として、新大綱の策定を目指すものである。

 現行の「原子力政策大綱」は自民党政権下の2005年10月11日
に「今後10年間程度に進めるべき原子力政策の基本的な考え方
を示す」ものとして原子力委員会で決定した。さらに、同月14
日には政府として「原子力政策大綱を原子力政策に関する基本
方針として尊重し、原子力の研究、開発及び利用を推進するこ
ととする」との閣議決定がなされた。

この現大綱で、使用済核燃料の取り扱いにかかる検討を通じて
「核燃料サイクルの基本的な考え方」として、今日の「再処理」
の方針が定められたのである。

大綱策定から5年を経て、昨年11月からの見直しの作業が始まっ
たところの中断そして、再開。

 政府の見直しに対してお手盛りを許さないように、しっかり
と事実の確認と客観的な検証を議員自らが傍観者ではなく当事
者として取り組む必要性があるとの想いから、このタイミング
での勉強会立ち上げである。

政務三役ではない原発の立地選挙区の議員方々や関心の高い方
々などに声掛けして呼びかけ人に名を連ねていただいての会の
立ち上げである。

政府の見直しは年内に「核燃料サイクルの評価の視点」、「エ
ネルギー政策の長期シナリオ」等について行い、来年3月まで
に原発の安全性、核燃サイクルオプション特性評価などを検討
してエネルギー・環境会議の議論にインプットするとしている。

それまでに、我々勉強会でヒアリングや検討を施して政府への
提言とすべく年内は週に1~2回の集中的な開催を行いたいと思っ
ている。
また、取りまとめられた提言はきちんと対外的にも発表してい
きたい。

 こうした、まじめな極めて重要な勉強会の立ち上げであり、
政局の要素のように扱われることには大いに不満を感じている
が、マスコミの「政策よりも政局」という体質はよくわかって
いるので、あきらめつつもしっかりと前に進めていく。

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2011年10月29日 (土)

欧州、当面の危機回避へ

 26日のEU首脳会合での決定については、とりあえずの懸念を
払しょくする程度には至ったというのが率直な感想である。

23日の首脳会合での決定先送りについては、憶測も飛んでいた
が市場は26日に「何らかの回答」が用意されているだろうとみ
ていた。

そしてその答えが、予想の範囲内だったいうことで安堵感が出
ているのではないだろうか。
もちろん、予断は許されないがヨーロッパ上げての取り組み姿
勢が見えつつあるということだと思う。

 目の前のギリシャ危機については、第2次支援プログラムの
民間部門関与がどの程度図られるかが焦点だった。

7月のユーロ圏首脳会合では、民間投資家が保有するギリシャ
国債を(1)30年債に交換、(2)30年債へのロールオーバー、(3)30
年債へのディスカウント交換、(4)15年債へのディスカウント
交換、の4つのプランが提示されていた。いずれにしてもNPV(
現在価値)ベースで21%減価が示されていた。

しかし、今回はヘアーカット(元本削減比率)を50%とすること
を呼びかける(invite)合意がなされただけ。
しかも、この50%は額面についてである。したがって、このこ
とによって7月合意にあったNPV21%減価と等価かあるいは増加
になるか減少になるかは現段階では明らかではない。

ここは、まだこれから詰めていかなければならない点だろう。

 そして、最も関心の高かったEFSFの融資枠再拡充については、
二つの方法が明らかにされた。
一つはEFSFによる部分保証。二つ目はSPV(特別目的事業体)が
創設されEFSFと官民の金融機関、投資家の資金で国債を引き受
ける、である。

結局レバレッジによってしか再拡充の方法がないため、EFSFの
部分保証で4~5倍の資金を動員するということ。

ここでも問題は、EFSFの部分保証で果たして「官民の金融機関」
の動員ができるかと言うことである。SPVの発行する劣後債は
EFSFが、優先債は「官民の金融機関・投資家」を想定している
のだが、果たしてそのようにうまくいくか。

これも詳細を11月に確定するよう、ユーロ圏財務大臣会合に要
請するというが、まだまだ不透明さは漂いながら、しかしとり
あえず前に進む、と言ったところのようだ。

 ただし、EUは今回のことを契機により強固な体制へと転換を
図ろうという動きの加速が起きようとしている。一方、根本的
な見直しの可能性ももちろんあるのだが、経済・財政上の協調
・サーベイランスは来年末までの財政収支均衡規定を法定化す
るあるいは憲法による手当までが議論されようとしている。

世界は危機の中にも反省をしつつ前を見て進もうとしている。
我が国だけが取り残されて、ガラパゴス化していっていること
に危機感は募る。

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2011年10月24日 (月)

EU首脳会合の行く末

 23日のEU首脳会合で、結論が先送りされたとの報道と資本増
強で大筋合意との二種類の報道がなされている。

確かに、欧州銀行に対する資本増強等の検討に要する時間的余
裕確保のために17日から一週間延期してのEU首脳会合だけに、
市場が結論先送りについての失望が広がるのではないかとの予
測もあったが、すでに先週末より26日に再度開くとのメッセー
ジが流れていた。

 10月12日にバローゾ欧州委員会委員長が示していたロードマッ
プで、論点は(1)ギリシャ問題への対応、(2)ユーロ圏の危機対
応能力の強化、(3)資本増強等による銀行システムの強化、(4)
安定的な成長を促進する諸施策の前倒し、(5)強固な経済ガバ
ナンスの構築、の五分野が示されている。

この中でも、とりわけユーロ圏の危機対応能力の強化として
EFSF(欧州金融安定基金)の融資枠の拡充と、資本増強による銀
行システムの三段階強化が注目されていた。

 結果は、EFSFの4400億ユーロの拡充は結論が出ず、一方資本
増強は、バローゾ工程表通り、自力増資、公的資金注入、EFSF
からの注入という三段階で進むことの合意は得られたようであ
る。

報道の、「進展」とされた部分は資本増強の合意である。
そして、先送りとされた部分がEFSFの再拡充。

ここで重要なのは、資本増強はすでに織り込んではいるがEFSF
の拡充は果たしてどのように決着するかにより市場の不安定化
が増すのではないかという点だと思う。

GDP規模でユーロ圏3位のイタリアの国債発行残高は約1兆8千億
ユーロ。ギリシャ問題に大きく影響を受ける可能性のPIIGS(ポ
ルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)の
中でもこのインパクトを想定すると、EFSFの再拡充がそれこそ
米国の主張する5倍規模、2兆ユーロにまで届くようであれば一
安心だろうが、独仏の議論は簡単に収まりそうにない。

26日に再協議は想定の範囲であるが、このEFSFの拡充について
は不透明感が漂う。

 リーマンショックと比べて今回の欧州危機は、金融ではなく
財政の問題でありリスクの所在が明らかである、と言う点では
全く異なる。しかし今回は先進国経済への直撃よりも新興国経
済に対するクレジットクランチの発生が懸念されるため、影響
がどこまで広がるか予測がつかない。

そしてさらに最大の問題として、リーマンショックは金融緩和
と財政出動の余地がまだ世界的にはあったということだが、今
回は新興国がインフレリスクに直面しており金融緩和の余地が
小さくかつ財政危機が原因のため、財政出動の余地も小さいと
いうこと。

我が国の取るべき手立てが、リーマンの時のように手さぐりで
はないが、相当に周到に準備が必要なのは言うまでもない。

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2011年10月17日 (月)

第126回シビックミーティングのご案内

日 時:2011年10月22日(土) 15:00~16:15
場 所:奈良県文化会館[小ホール]

(奈良県登大路町6-2 0472-23-8921 地図
テーマ:「臨時国会にのぞんで」
10月21日より臨時国会が開会予定です。
震災復興に向けての三次補正予算など、
臨時国会の様子をお話させていただきます。
入場無料・予約不要で出入り自由の会ですので、
お誘い合わせの上、ぜひお越し下さい。


「第68回天下国家を語る会」も開催いたします。
シビックミーティング終了後、場所を移して
有志による懇親会を行います。
今回は予約制ですので、参加ご希望の方は
事務所までお申し込み下さい。

なお、FAXの方は必ず、お名前・お電話・ご住所を
明記してください。

(会場の都合により申し込み多数の場合はお断り
する場合がございますがご了承下さいますよう
お願い申し上げます。)

日 時:2011年10月22日(土)
場 所:神なりや

(商工会議所となり 大和ビル地下1階)

ご連絡先 まぶちすみお事務所
電話:0742-40-5531   FAX:0742-40-5532

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2011年10月14日 (金)

TPPに見る開国論の不在

 TPP交渉参加の議論が11月のAPECまでに煮詰められなければ
ならないとして、政府内及び党内の議論が過熱しだした。

 ビジネス界出身の僕は自由貿易を推進すべきだとの立場は変
わらないものである。

 民間時代、実際に93年より北米担当のCEOとしてNYに駐在し、
NAFTAの恩恵によりメキシコのマキラドーラ(保税加工)によっ
て製造業を営んできたときにも、日本でもいち早くこうした経
済連携協定を結ばなければならないと強く実感したものである。

こうした自由貿易、世界的な経済連携の必要性を十分実感とし
て持ち得ているものであるが、しかしながら今回のTPP交渉参
加は、慎重にならざるを得ないとの想いは強い。

代表選挙の政権公約にもTPP慎重論を主軸とする「米国、ヨー
ロッパとのバランスを取った経済連携を行う」との一言を書き
加えた。

政権が米国との関係を最重要視し、今後の普天間をはじめとす
る基地問題にも日米との信頼感を醸成する必要があることから
その第一歩としたいとの考えは理解できるが、TPPありき、あ
るいは「参加・不参加」の二者択一の議論はいかがなものかと
思う。

そもそも平成の開国と称しながら、「開くべきは何か?」の議
論に深まりはない。

「乗り遅れるな」との情緒論は先の米国との普天間を中心とす
る極めて重たい交渉の前段とするからこそ生まれる発想ではな
いかと感じる。
そして、すでに霞が関の空気は、それ一色に染まりだしたよう
にも見受けられる。

 関税撤廃の中身のみならず、規制改革要求を条約に従って出
すことを主眼とした米国の「年次改革要望書」の強制版を日本
に踏み絵させることに他ならないのではないか。

いずれにしても、ただただ、「日本を守るために反対」という
これまた極端な話と与するつもりはないが、中身の話をすると
ころに立っていない現状を憂う。

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