2017年12月 2日 (土)

皇位継承、残された課題

 1日、今上天皇の退位に関する皇室会議が開催され、退位日が再来年の4月30日、新天皇の即位日が5月1日となることが決定した。
◆皇室会議と退位
 皇室会議は、三権の長や皇族二方などで構成され、皇位継承順位の変更や皇族の婚姻、皇籍離脱などを審議する重要な役割を担っている。
退位については明治以降初めての例ということもあり、法律上、開催に関する規定はなかった。今春の退位法の制定にあたっては、衆参両正副議長の下で与野党が協議する形で議論が進められたが、民進党が皇室会議の関与を強く求め、私も交渉の先頭に立ち、皇室会議の意見を聞くという形で法律に取り入れられた経緯がある。
 皇室会議の関与を求めた理由は、憲法1条が、天皇の地位は、「国民の総意に基く」と規定する以上、退位は単に時の内閣の方針だけではなく、三権の長である衆参両立法府議長や最高裁判所長官などの意見を反映することが必要で、さらに、皇室問題の当事者である皇族方をも含めた審議が要請されると考えたからだ。
当時、民進党内でも、皇室会議に加えて、国会の関与を強く求める声もあったが、当時の皇位検討委員会の事務局長として取りまとめを図る立場の私は、国会関与を否定はしないが、皇室会議による議決を強く主張してきたものでもある。結果は「意見を聞く」にとどまったが、その成果としての今回の皇室会議ではあった。
この点で、今回、退位に関する皇室会議が開催された意義は大きい。
 しかし、今回、事前に退位日についての内閣の方針が報道され、それがあたかも既定事実であるかのように誘導がなされることで、皇室会議が形式的なものになってしまったのではないか、という疑問がある。
今上天皇皇后両陛下は、国民に寄り添うことを何よりも大切にされてこられた。
報道にあるような、官邸と宮内庁のメンツにこだわった綱引きによるかのような退位日の設定はあってはならないのである。国民生活に最大限配慮された退位日の決定こそ、陛下が望まれる形であり、決してそのことは、憲法4条に定められた「国政に関する機能を有しない」に触れることではない。十分に今回の立法趣旨を踏まえた決定プロセスになっているかどうかは、きわめて重要なことだと指摘しておくべき事柄である。
天皇退位については、今回の退位法が今後の先例となることを国会質疑において確認している。また、皇位継承のあり方についての議論も速やかに進められる予定だ。
皇位継承について、今後も皇室会議を開催して実質的な審議を行い、その反映がなされるような制度整備が必要なのである。
◆早急に皇位の安定的継承の議論を
 今上天皇の退位日は決定したが、今後の皇位継承のあり方についての議論はこれからだ。再来年に皇太子が即位されれば、皇位継承資格者は3人だけとなる。また、慶事ながら女性皇族のご成婚による皇族減少の問題もある。皇室の永続に向けた議論は一刻も早く進めなければならない。
 退位法成立に際しての付帯決議では、政府は安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等において速やかに検討を行うことが示された。また、私が質問に立った国会質疑においても、政府は退位後の具体的な検討に向けて適切な対応を取ることを明言している。
にもかかわらず、現時点で具体的な対応が進められている様子は見えない。政府には速やかな対応が求められる。
◆伝統、憲法と皇室のあり方
私はこの国の「はじまりの地」である奈良の人間として、我が国の伝統としての皇室のあり方について考え、退位の問題に取り組んできた。
また、今、憲法改正の論議が本格化しようとしているが、憲法は1章で天皇について規定しており、皇室のあり方を考えることは、憲法のあり方とこの国の形を考えることでもある。
一人の政治家として、我が国の伝統と憲法、そして皇室のあり方について、今後も、発信を続けていく。

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2017年11月23日 (木)

何党ですか?

 あなたは何党ですか?
 落選してからも、再三このことを聞かれる。
地元有権者や、全国の選挙区外の方々からも...。
 なんせ、解散直後に解党が宣言され希望の党合流が決まり、その後、公認にまつわるゴタゴタが報じられ、公示一週間前に公認決定のドタバタ劇。
有権者も何が何だかよくわからない混乱の中での投票でもあったろう。
さらに選挙後、突然の小池氏の希望の党代表辞任で、「あれはいったいなんだったのか?」と、まるで「嵐のような出来事」と受け止められてもしかたがない。
 で、その嵐が去ったあと、私たち落選者は何ものなのか?
両院議員総会で決めた、離党届を出して希望の党公認で選挙を戦って、そして落選したものは、どの党の人なのか?
誰も説明もしてくれないし、なんだかよくわからない状況の中で、有権者のみならず全国の落選者自身も、「どうなってるんだろう?」と訝しんでいる。
 私も落選者なのだが、各方面からあまりにも多数の問い合わせが来るものだから、自分なりに法律面、政党の運営面から整理をしてみた。
 基本的には、「法」と「政党の決まり」とは別物だ。
その上で、公職選挙法上の規定を踏まえかつ党の組織体制確立が未だ整っていない状況から鑑みると・・・
 結論は、「無所属」ということになる。
 私たちは、両院議員総会の決定を受けて民進党公認取り消し及び希望の党公認申請=民進党離党となった。
そして交渉・党務は代表一任であり、離党届は代表によって受理されていることになる。
この段階で、「党籍なしの無所属」。
 そして、すったもんだはあったが、結局希望の党の公認で選挙を戦う。希望の党にはそもそも党組織も、党員資格も含め一切の規約規定が整備しつくされていないから、入党の手続きも党員として認められる党籍の証も何もないままに、選挙。
すなわち、この段階で、「党籍なしの希望の党公認」。
 で、ここでややこしくなるのだが、そもそも「公認」ならば党員ではないのか?との疑問が生じてくる。
確かに公職選挙法第86条の4第4項に「所属党派証明書」の選管届け出が規定されている。
しかし、これは、あくまで「公認」を規定するものであって、「党籍の有無」を規定するものではない。
したがって、公認であっても党籍なしすなわち党員ではない、という事態が現実には起こり得るのである。
 一般には、党組織が出来上がり、入党手続きや県連組織、総支部組織などの組成がなされ総支部長に就任して候補者になるので、このようなことが起きると想定されていないと思うのだが...、今回、起きてしまった...。
 もちろん、当選したものは、党所属議員として活動するので、党籍なしとの解釈には無理があるだろう。しかし、落選者は未だ県連組織も総支部組織もない中で、当然総支部長でもないので、党籍なしの無所属の政治活動を行なう者としての位置づけでしかない。
 では、比例名簿登載者としての位置づけはどうか?
ここでも今回の曖昧な党組織の中での党籍の有無が課題となる。
公職選挙法98条3では、「除名、離党その他の事由により当該衆議院名簿届出政党等~(略)~に所属する者でなくなつた旨の届出が」なされた場合は「当選人と定めることができない。」とされている。
つまりは「除名、離党」によって、比例名簿からいわゆる「削除」されるということになる。
そうなると、除名、離党、というのは党籍あるものに対する措置なわけで、党籍のないものに対して誰がどのようにその措置ができるのか?が問われる。
 その判断・措置は当然ながら、政党すなわち代表もしくは意思決定機関が行うわけであり、党籍は確かに今はないが、「党員とみなし」て、取り扱うと政党で決めれば、それが生きることになる。つまり「みなし党員の除名、離党」というわけである。
これは法律の話ではない。
 また、今後、党の組織規程を整備した暁に改めて、入党申込、総支部長就任などの要請が行われるというのもあるかもしれない。
その時には、それを拒否すれば、「除名・離党」と判断されて比例名簿から外れることになるのだろう。
 だから、現時点では上述したように、党籍がないのだから無所属。
 しかし、今後規約と組織が整備され、党籍の有無についての確認作業がなされる時に、判断が求められるということなになればその時に判断、ということなのだろう...。
 あー・・・、なんと、宙ぶらりん、中途半端な立場であろうか!!
立憲民主党は、県連組織を立ち上げるべく勉強会を始めた。
民進党は既存の県連組織をはじめ総支部体制を持っており来年の大会で地方議員が総支部長になれるように規約を改正するとしている。
そして、希望の党は・・・、まだ、よくわからない…。
野党を一つにまとめていく、どころではないゾ。
本当に、漂流してしまうゾ。
 この危機感を、いったいどれほどの、議員や落選者が持っているんだろうか。
ただただ、「現時点、無所属」の者として、憂う。
そして、行動していかなければ、未来はない、と強く肝に銘じる。

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2017年11月20日 (月)

野党再編のタイムリミットは?

 9月28日、民進党の事実上の解党宣言がなされて、結果、バ
ラバラに。
喜んだのは与党。これで、当面、与党政権は安泰。
そして、解党のはずの民進党、希望の党、立憲民主党の三党が
誕生し、それぞれの事情で三すくみの状況となっている。
 本来ならば、大きなプラットフォームになっていなければな
らないのに、三党のうちのどれかがなくなるか、あるいは、膠
着状態が続くのか、といったありさまだ。
 この先、野党はどうなるのか?
 国会議員の間では、再来年の参院選を睨んで、来年の通常国
会でイニシアティブを取った野党が再編の中心になるので、通
常国会の終盤まで、見極めなければならないとの論を述べる者
もいる。
しかし、これは、状況認識の誤りだ。
 再来年の参院選は、45都道府県のうち、32も一人区がある。
ここでは、自ずと野党が選挙調整を行い、候補者を一本化する
インセンティブが働く。
したがって参院選だけ見れば、確かに来年の通常国会を見極め
て、という動きになると見えるかもしれない。
 しかし、再来年7月の参院選の前の統一地方選は、どうか?
これは、そのような候補者一本化のインセンティブなど到底働
かない、大選挙区、中選挙区が中心となる。つまり、参院選の
前の統一地方選では、三党がそれぞれ、国政の手足となる地方
議員を作るべく、躍起になって現職地方議員や候補者の囲い込
みを行うこととなる。
 そして、そのタイムリミットは?といえば、通常国会の終わ
りの6月などではなく、来年の3月いっぱいとなる。
 統一地方選候補者の多くは、支援団体「連合」の推薦を必死
になって求めていく。そして、得た、その証たる「推薦」を組
織に示していくのが統一地方選までに一年を切って行われるメー
デー(多くは4月後半GW初日)だ。
 つまり、多くの統一地方選候補者にとっては3月いっぱいで
党の公認を得て、党を支援してくれる連合の推薦を取り付け、
メーデーで紹介されるという、「選挙態勢」を整えるプロセス
が必要不可欠となる。
 そして、三党がそれぞれ、党本部機能として「選挙調整」を
行うのであれば、3月までに終わらせなければならない。
つまりは、年内から来年初そして年度末までに連携を模索し結
果を生み出すことができなければ、統一地方選候補は、てんで
んばらばらに、各党からの囲い込みに直面することになり、そ
れこそ、三党がバラバラに統一地方選候補を擁立すれば、野党
による潰しあいが現実のものとなる。
 そうなると、3か月後の参院選は足腰がガタガタの選挙とな
りかねない。
 野党再編は、実はこうした事情を考えると、タイムリミット
は来年の3月末なのである。
 しかし、その機運は低い...。
当面、与党の高笑いが続く。

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2017年11月19日 (日)

戦略なき増税路線

 政府・与党は、来年度の税制改正に向けて、会社員など給与
所得者の所得税を計算する際に収入の一定額を経費とみなして
課税対象から差し引く給与所得控除を、高所得者を中心に縮小
する案の検討に入ったと報じられています。
◆高所得者に有利な所得税
 所得税の基本は、所得の高さに応じて税を負担する「累進課
税」です。
 ところが、現行の所得税では、厚生年金などの社会保険料を
給与から支払った場合、その分を差し引いた額をもとに、所得
税が計算されます。そのため、多額の社会保険料を支払ってい
る高所得層は控除の額も大きくなり、結果的に高い所得に応じ
た税負担がなされていないという実情が指摘されています。
 一方、厚生年金に加入していない人は、納める社会保険料の
額自体が少なく、結果、控除額が小さくなっています。
 つまり、社会保険料の控除も視野に入れると、高所得層が事
実上「優遇」されているのが現在の所得税と言えます。
◆「控除の見直し」は行うべき
 「所得税控除の見直し」は私の持論であり、政府・与党が検
討を進めるのであればそれ自体は賛成です。
私は先の衆院総選挙において、消費税を5%に引き下げ、その
「代替財源として」所得税の控除のあり方を見直すべきだと主
張しました。
詳細は私のホームページの「馬淵澄夫「消費税引き下げの検討」
をご覧いただきたいのですが、具体的には、社会保険料に対す
る控除を見直すことで、消費税1%分以上の税収にあたる2.5兆
円程度の税収を確保できます。これに加え、株取引などで得た
所得への課税強化、脱法的に税逃れを行う企業への課税強化な
どを組み合わせることで、消費税3%分は十分賄えることを示し
た検討結果を公表しました。
◆控除見直しは消費減税とセットで
 政府・与党の検討する「所得税控除の見直し」は良いとして
も、問題は「増税」路線の先にある「戦略」の有無です。
 政府与党案と私が主張してきた案との最大の違いは、「経済
対策としての消費税減税を同時に行うか否か」です。
 政府・与党は消費税を10%に上げた上で、所得税控除を見直
そうとしています。政府・与党は、全納税者を対象とした「基
礎控除」を同時に見直すことで、企業に属さず働く個人や所得
が低い層の税負担を軽くする方向で検討しているとされていま
すが、これが「経済対策」として、いかなるインパクトがある
かは検討された形跡は見あたりません。
 「こちらを増やしてあちらを減らす」的な帳尻合わせの税の
見直しではなく、税と経済が密接に関係していることを踏まえ、
「戦略的な」税の見直しこそが必要と考えます。
 消費が落ち込み続けている経済状況のもと、国民の暮らしを
守るという最も大切な目標を実現するためには、所得の低い層
に悪影響の大きい消費税を引き下げて、税収不足となる分の代
替財源として、高所得層が恩恵を受けている控除を見直すべき
です。
個人消費=景気・経済の回復と、格差是正とを同時に行うべき
というのが私の主張です。
政府・与党には、従来の硬直的な思考から離れた、「戦略的な」
税の見直し論議を強く望みます。

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2017年11月10日 (金)

成果見えぬ日米首脳会談

 5日、トランプ大統領が来日し、安倍総理との首脳会談を行いました。しかし、具体的な首脳会談の成果には疑問を感じます。

首脳発言から「成果」をみる
 トランプ大統領の訪日に関しては、「日米首脳間の信頼が深まった」と評価する声も聞かれます。しかし、首脳会談はお互いの信頼関係を高め合うだけではなく、国益として何を主張し、「何を得たか」が厳しく問われる場です。

 その成果については、表面的な友好ムードにとらわれず、両首脳の発言内容に着目すると、日米がそれぞれ今回の会談で「何を得たか」が見えてきます。
 会談後の記者会見でトランプ大統領は、「日本は、アメリカの兵器を大量に買う。これは日本の安全のためだ」、「アメリカと日本は公正で自由な貿易関係を築く。平等で信頼できる市場へのアクセスを確保し、貿易赤字を解消する。この目的に向け話し合い、大きな進展があった」と「具体的な」成果について話しました。

一方の安倍総理は例えば北朝鮮問題については、「改めて、日米が100%共にあることを力強く確認しました」と話し、経済問題については、「2国間の(略)協力も強化していくために、引き続き議論を重ねることで一致しました」と述べるにとどまりました。

具体的な成果を並べるトランプ大統領に対し、安倍総理の言葉は大変に抽象的です。

これを踏まえると、トランプ大統領は、互いの方針の確認や強化だけではなく、高額な兵器の日本への売り込みや、アメリカの対日貿易赤字の解消といったアメリカの国益となる主張を行い、安倍総理は、それを飲まざるを得なかった構図が伺えます。一方、具体的に日本が得た成果は見えないと言わざるを得ません。

「過度の対米依存」は問題
 冷戦下で歴代自民党政権は、アメリカという超大国に安全保障、経済を依存することで、ソ連の軍事的脅威に対抗しつつ、自由貿易の中で輸出企業を中心に経済発展を図るという姿勢を取ってきましたが、日米で連携して北朝鮮の軍事的脅威に対抗すると同時に、経済面では中国に対抗しようとする安倍政権の戦略もこれと同じ系譜の上にあるといえます。
 しかし、かつてアメリカにとってアジアにおける共産圏に対する防波堤として重要であった日本の地位は、冷戦終結後の中国の経済発展をうけ、大きく揺らいでいます。
 アメリカは中国と親密な関係を築き、北朝鮮問題についても中国やロシアといった周辺諸国が重要な地位を占めています。
今回のアジア歴訪にしても、主眼は中国と、ダナンでのロシアとの会談だとも言われています。中国の覇権拡大抑制を意識した「アジア太平洋戦略」から「インド太平洋戦略」への転換など、自国の利益の極大化に腐心するアメリカの姿が透けて見えます。
 中国はトランプ大統領訪中時に対米で28兆円ものビジネスを提供し、国際社会の懸案となっている知的財産権侵害問題や南シナ海周辺海域に及ぶ領有権・管轄権紛争などへの言及を封じ込めました。国際社会のリーダーたちは、すさまじい権力闘争を勝ち抜いてきたツワモノであり図抜けたしたたかさを兼ね備えているのです。日本も、「したたか」、でなければなりません。

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